失敗しない讃岐うどんの作り方
先日、香川県で讃岐うどんの手打ちを教わる機会がありました。うどんの手打ちと聞くとなんだか難しそうですが、家庭での調理に限定すれば、意外と簡単にあのコシのある本場の讃岐うどんが作れます。
失敗しない讃岐うどんの作り方の詳細は以下から。
今回は家庭で調理することを前提としています。
お店などで作るものと異なる一番のポイントは、一度に作る量の違いです。業務的に作るとなると一度に大量の麺を打たなければいけません。量が多ければ、粉と水の配分やこね方、ネタをねかす時間や管理など、それぞれの行程での様々な工夫や調整が必要となってきます。
しかし家庭で作る分量の場合、職人的なテクニックや難しいことをしなくても、店で食べるものと遜色ないレベルの麺が打てます。
まず、うどんを打つため特別に用意するものは、直径40cmほどの大きめの洗面器。なるべく色つきのほうがいいです。その理由は後ほどでてきます。
麺棒と包丁、麺を打つ大きめのまな板、スーパーの袋、それぐらいです。
材料は、小麦粉と塩水とコーンスターチ。これだけです。
小麦粉はスーパー等で売っている"うどん粉"というもので構いません。いわゆる中力粉ですが、"中力粉"より"うどん粉"として売っているものを選びましょう。
分量は
- 小麦粉(うどん粉)140g
- 塩水 70g(塩7g,水63g)
- コーンスターチ 適量
小麦粉と塩水を足すと210gですが、茹でると約2倍近くに膨れるので出来上がりは390〜400gの麺になります。多いようですがこれで約1人前強の量です。
ここでのポイントは小麦粉と塩水の配合比率=加水率です。
通常は小麦粉2に対して塩水1の【加水率50%】と覚えておきましょう。
ただ夏場は加水率が若干少なくなって【加水率48%】程度が適しています。上記の分量でいえば、小麦粉140gに対して塩水67gぐらい。これはあくまでも目安ですので、季節や気温によって自分なりに調整が必要になってきます。
次に塩水の濃度ですが、【塩1:水9】の割合です。
今回は70gの塩水が必要ですので、塩7gと水63gを混ぜましょう。
この時、時間に余裕があれば、使用する20〜30分前に作っておきましょう。ねかせることで小麦粉と馴染みやすい塩水になります。水は普通に飲める水道水(軟水)で構いません。
小麦粉を洗面器にあけます。大きくダマになったところは指でつぶしておきます。
塩水を3回に分けて入れて小麦粉と混ぜ合わせていきます。
最初に半分の量をまわし入れ、片手で洗面器を抑え、もう一方の手の指を熊手のように立ててかき回します。この時、小麦粉を洗面器に押しつけたりせず、ぐるぐると円を描き小麦粉と塩水を馴染ませていくようなイメージです。決してこねたりしてはいけません。
入れた塩水が小麦粉に馴染んだら残りの量を2回に分けてまわし入れ、混ぜていきます。混ざった小麦粉は生成り色の小さな粘りのあるダマになっていきます。この時、洗面器の底や側面についた細かい小麦粉を指で落として、混ぜむらがないようにします。
途中、混ぜる手を止めて、洗面器を大きく円にまわし中の小麦粉を洗面器の中で回してみます。混ざった生成り色のダマが真ん中に集まり、まだ塩水と混ざっていない白い小麦粉が外側に現れてきます。
色つきの洗面器を使うことで混ざりきっていない白い小麦粉が見やすいわけです。こうして混ざりきっていない小麦粉を寄り集め、生成り色のダマと馴染むように混ぜ合わせていきます。
だいぶ白い細かい小麦粉がなくなり、生成り色の混ざったダマになってきました。
大きくなりすぎたダマは、中に混ざりきっていない小麦粉が残っていてはいけないので、手でちぎって小さくしておきましょう。ここでしっかり小麦粉と塩水を混ぜ合わせておかないと、粉っぽい麺になってしまいます。
次に生地をきたえる作業です。量が多いとビニールなどに入れ足踏みするのですが、これぐらいの量なら手で十分です。
開いた手の平で12回押して平らにしていきます。
この作業をあと3回繰り返します。計4回です。
そして最後に15回押してのばし3つに折りたたみます。
だいぶ生地がしっとりしました。固さの目安は耳たぶより少し固め。
上記の回数でちょうど良いコシの麺ができます。生地はこの作業で押せば押すほど固くなっていきます。コシの強い麺を作りたいからといってむやみに押す回数を増やすと、包丁で切りにくく、なかなか茹で上がらない麺になってしまうので注意しましょう。
生地を風があたらないようにビニールの袋などに入れて、春・秋は約1時間〜2時間、夏なら30分〜1時間、冬は2〜3時間ほど室温でねかせます。
すぐに食べない場合はラップをして冷蔵庫に入れておきます。冷蔵庫で1晩ぐらいねかせたほうが生地が落ち着きしっとりと仕上がります。
次は生地をのばす作業です。袋から先ほどの生地を出し先ほどの要領で、ある程度押しのばします。
コーンスターチをひと掴みほど、のばした生地に軽くまぶします。
小麦粉や片栗粉を使用すると茹でる時に麺の表面がドロっとし、洗い流す作業が大変になりますので、できるだけコーンスターチを使うようにします。
指の付け根あたりで麺棒を押し、3回ほど前に転がし生地を伸ばしていきます。
厚みを確かめるために折れてしまわないように二つにかるくたたんで、たたんだ端から4〜5cmあたりを持って、上から生地の厚みを見てみます。
生地は茹でると約2倍近く膨れるので、ここで見えている生地2枚分の厚みが茹で上がった麺の太さになります。この状態ではまだ1cm以上あります。これの見た目が約7〜8mm、つまり生地の厚みが4mmぐらいになるまで、のばす作業を繰り返します。
同じ方向で麺棒を転がしていると、表面がでこぼこしてくるので、生地を横に向けて、全体が均一の厚みになるようにのばしていきます。生地の厚みが均一でないと茹で上がりにムラができるので、ムラなくのばします。
時々手で生地をなでて厚みのむらがないか確かめます。
生地がだいぶのびてきました。
ようやくいい感じの厚みになったので、包丁で切る作業に移ります。
生地にコーンスターチを振ります。
半分程巻き付けたら、持ち上げて裏返し、出てきた面にもコーンスターチを振ります。
包丁で約4mm幅で切ります。厚みも4mmですので、太さ4mm、茹で上がり約8mmの麺ができる予定です。
コーンスターチをはたき落とし、くっついている麺をほぐします。
できた麺を今回は目の前で茹でて、氷水に上げていただきます。
大きな鍋にお湯を沸かします。
沸騰して吹きこぼれそうになったら差し水をします。麺がくっつかないように時々箸で鍋底からゆっくりまぜます。それ以外は箸でかき混ぜたりはしません。
今回の麺の太さでは茹で時間は7分。6分程でいったん様子をみます。
いい茹で具合になっていたら火を止め、氷水にいれて落ち着いたところで食べます。
全体の作業時間は、前半の練り作業が30分、1〜2時間ねかせて、後半の伸ばしと切る作業が30分程でした。
一度に大量の小麦粉と塩水を混ぜるとそれなりのテクニックが必要であったり、手でのばす作業が足踏みになり、その力加減や回数が異なってくるのでとたんにレベルが高くなるようです。
もっとたくさんの量を作りたいときは、混ぜ合わせる作業を何回かに分けて行うなどすれば、数人分のうどんぐらいは家庭でも作ることができます。
すぐに食べない場合は、混ぜ合わせて生地を作るところまで作業をし、生地をラップにくるんで冷蔵庫にいれておけば、3日は持ちます。その場合、生地はねかすと少しやわらかくなるので、のばす作業の前に1〜2回ほど手のひらで押しのばすきたえる作業をしたほうがいいでしょう。